昨日のストックホルムは久々に太陽に恵まれた。
今朝も窓から眺める家並みが陽に照らされていた。
地面を覆っていた雪もおおかた解けていた。
このまま、明るく暖かくなり、昨年の初夏の如く、人々の表情も明るくなってゆくのであろうか、と思わせられるような陽気であった。
久しぶりに自転車で旧市街まで行ってみようか、夏以来旧市街には行っていない、と思い、窓から空の色を確認した。
朝は陽に照らされていた家並みは、今度は濃霧の奥に隠されいた。
結局、今日のサイクリングはあきらめた。
運命論者でもないが、何をやっても上手く行かない時期、というものがあるとすれば、私にとってはおそらく今である。
スウェーデン語では「壁にぶち当たる」、という表現が頻繁に使われる。日本語に相当するものは燃え尽き症候群の一種であろうか。
通常、私の場合、数か月ごとの週末旅行等により環境を変えてみることにより、従来なら壁にぶち当たる前になんとかブレーキが掛けられていた。
現在はそれが難しい状況にはなっているが、家に居ながらにして仮想的に環境を変えることが出来ないかと努力はしている。
その対策の一つには映画鑑賞がある。
それでは、どのような映画が私にとっては効果があるのか?
元気をもらえる映画というよりは、その中に引き込まれることによりしばし現実から休憩をもらえるようなものが合う。
すなわち、いつの間にか自分が映画の中に入り込んでいるような奥の深いものだ。
時間的にはどのぐらいのものが良いか?
二時間から三時間ぐらいであろうか。
「風と共に去りぬ」のように四時間近くなってしまうと、「映画を鑑賞する日」の予定を特別に立てなければならない。
通常の場合は歴史映画、また、(古典になるが)「ポセイドン・アドベンチャー」のようなタイプのサバイバル映画を鑑賞することが多いかもしれない。
努力をしている人が逆境に負けず成功する、というような話も古典的ではあるが趣向に合う。
しかし、現在のような心境を浮き立たせようとしたいときに見るものはアクション映画が多いかもしれない。
動きが速いので没頭しやすい。
昨晩は、デンゼル・ワシントン主演のアクション映画か、あるいは(アクション映画ではないが)NetflixのおすすめNo.4のボリウッド映画「White Tiger」か迷った挙句、ボリウッドに勝ち旗が上がった。
私はインドに行ったこともない、(よく知らないため)インドに傾倒しているわけでもないが、何故か最近、ボリウッド映画に触れる機会が増えている。
日本におけるボリウッド映画の市民権は測りかねるが、スウェーデンにおいては、一般の映画館に行っても数本のボリウッド映画が放映されている。
最近まで、インド映画に関する私の蘊蓄は浅く、男女が歌いながら愛を語る長時間映画、という印象ぐらいしか持ち合わせていなかった。
しかし、ある時、飛行中で隣に座っていた乗客が見ていたThe lunch box(和名 めぐり合わせのお弁当)という映画が面白そうであったので自分でもヘッドセットを付けて見てみたが、途中で不具合が出て英語の翻訳が消えてしまった。そのため結果がわからずしばらく気になっていた。
その後、スウェーデンの映画館でThe Best Exotic Marigold Hotel (和名 マリーゴールド・ホテルで会いましょう)を鑑賞した。その映画では英国の名優たちがおのおのの人生の葛藤をインドで清算していた。これはボリウッド映画ではないのかもしれないがインド社会を垣間見ることが出来た。
昨晩鑑賞したWhite Tigerは、事前にあらすじも読んでいなかったが最後のどんでん返しは全く予期できぬものであった。
いずれの映画のあらすじもネタバレになると申し訳ないのでこちらでは紹介させてはいただかない。
インドで制作されている映画の数は夥しい。その中で私たちの目に触れるものは精鋭中の精鋭中である。軽いタッチのラブストーリー等もあるが、多くのものは鑑賞したあとの重みがまったく違う。
こちらでは特にボリウッド映画を勧めさせて頂いているわけではない。
しかし、これらの映画を鑑賞していると、あまりに予期できない(私の持つ常識では理解不可能な)出来事および習慣が次々と表現されるため、おのずと引き込まれてしまい自分の日常をしばし忘れることができる。
さらに多くの疑問も湧く。
なぜ、インドの俳優たちは英語と現地語(どこの方言かわかりかねる)を混ぜて話したり、英語で質問をしているのに現地語で返答したりしているのであろうか。
会社の食堂で隣のテーブルに座って居たインド人エキスパート達も、英語を混ぜながら会話をしていたので、その理由を訊ねてみた。
「僕たちは英語のほうが表現しやすいことは英語で、現地語のほうが表現しやすいことは現地語で話しているんだ」
が、返答であった。
最近の日本の状況はわかりかねるが、日本で日本人が会話の中に英語を頻繁にまじえながら話をしたら違和感を感じないであろうか。
今まで鑑賞したボリウッド映画の中にはいろいろなジャンルがあった。鑑賞したあとで複雑な心境になるものも少なくはない。
しかし鑑賞したあとで癒されるものもまた多い。私がもっとも癒されるものは、親の子供に対する愛情を詠っているものであった。
決して代償を求めぬ果てしない愛のかたちがそこにあった。
ご訪問いただきありがとうございました。
ブックマークを通して頂いたコメントを紹介させていただきたいと思います。(自動的には表示できないようですので)。
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https://urimasaru.hatenablog.com/
>まだ二十歳の頃、パッチアダムスを見てパワーを貰ったのを覚えています(*´ω`*)✨🌈 今の仕事ので原動力になったような、ならないような(*´ω`*)💦
コメントを頂き有難うございました。
「パッチアダムス」、知りませんでした。ロビン・ウィリアムズが主役なのですね。今度、この映画探してみます。数年前に見た映画から未だに原動力を頂けると言うことはすごいです。彼は偉大な俳優でしたね…。
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最近、The Best Exotic Marigold Hotel見ました。自分が同じ立場ならどうなるんだろうと思いつつ…。
コメントを頂き有難うございました。
ああ、あの映画ご覧になったのですね。それほど明るい内容ではないけれどなんとなく後味が良い映画ですよね。
なるほど、英国ですからね、立場も理解しやすいかもしれませんね。ただでさえ英国はインドの方が多いですしね。
英国でインド料理が食べたくなりました、笑。
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紹介させていただいた写真は、人々の表情が明るかった去年の深緑の頃のものです。
一応参考までに上記映画のリンクをここに記されて頂きます。Wikiに関しては日本語のサイトもありますがリンクが長いのでこちらは英語版です。
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Lunchbox
The Best Exotic Marigold Hotel - Wikipedia
https://www.netflix.com/se-en/title/80202877
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