ある夏、日本から帰国してストックホルムのマンションに戻った時のことだ。私達のマンションが視界に入った時、娘達が突如泣き出した。
彼女たちが指している方向を見て、私も泣きたくなった。
我が家の窓ガラスが割られていたのだ。
表通りに面している居間の窓が激しく割られていた。
私達には、不在の時に留守宅の様子を見てくれる親戚もいない、さらに、隣人たちともそれほど交流がない。
窓ガラスがいつ割られたかは分かりかねるが、割られてからはずっと放置されたままになっていたはずであるので、
「このマンションは留守ですよ」、と宣伝をしてるようなものではないか。
盗まれて困るような高価なものは所有もしない、また、何も盗まれてはいなかったが、窓の割れた家で寝るということはあまり気分のよいものではない。
逆時差ぼけがなければ眠れなかったかもしれない。
何故、数年前に起きたこのようなことを思い出したのか。
「我々を不安にさせる住まいの要素12点」(意訳)という小記事を見つけ、6点目に注意が行ったからである。
投票数が多かった順から以下の項目である。
- 建物内に知らない人がたむろしている。
- 治安の悪い近所
- 不快な隣人
- 照明の暗さ
- 近所からの騒音
- 割れた窓ガラス
- ドアが「セキュリティ強化ドア」ではない
- 落書きがある
- 建物内が掃除されていない
- 破損した外壁
- 吠える犬
- エレベーターの故障
建物、住まいの中で不安を感じたことはない、と返答した人は23パーセントであった。
以前住んで居たところはストックホルム市の中心に位置していており、窓ガラスが割られていたこと以外には恐ろしい体験もしなかったが、それでも上記の1,3,4,6,7,8,12が該当していた。
近所からの騒音がある時もあったが、毎週というわけではなかった。
しかし、非常に恐ろしい要素もあった。
共同洗濯室は黒部隧道を彷彿させるような地下にあり、廊下の照明は数分後に自動的に消えるようになっていた。
そのマンションを売却する直前には、売却を有利にするために、セキュリティ強化ドアを取付けてもらった。
現在住んでいるところは、去年か一昨年、軒並み空き巣の被害に遭ったため、ここでもセキュリティ強化ドアに交換する羽目になった。
この二枚のドア代金だけで豪華クルーズ船の一等席でヨーロッパ旅行が出来てしまうほどである。しかし安心料だと思えば安いものであろう。
それでは安全を強化するためにはどのような対策が必要であるか、という質問に対しては(視点は違うようであるが)以下の返答があった。
- 防犯カメラの設置
- 建物内に消火器の設置
- センサー付き照明
- 自動体外式除細動器(こちらでは心臓スターターと呼ばれる)の設置
- 近隣世帯との組織的な連帯防犯
- 電子錠
- 一か月ごとのドアコードの変更
パンデミックが勃発してからは、在宅勤務の人が多くなったため空き巣等は減少したはずである。しかしこの統計は昨年の秋に発表されたものである。
安全を強化するための対策の一環として「近隣世帯との組織的な連帯防犯」、がある。
日本では、住宅地などでは近所の人達が火の用心のカチカチ棒を鳴らしながら近所を見回っているところがある。
果たしてこの見回りにどれほど効果があるのかは疑問であるが、見ているとほのぼのとした連帯感が伝わってくる。
セキュリティ強化ドアも防犯カメラも設置しようとすれば出来る。
しかし、近所との連帯防犯は、この国の人間の性質からしたら一番ハードルが高いかもしれない。
私は、隣人のところには子供が3人いることを数日前に初めて知った。目が合ったら時候の挨拶はするが、お互いに名前さえ知らない。
これでは隣人のところに見知らぬ人がたむろっていても、知人なのか不審な人間なのかは判断しようがない。
何かしらの異状を感じたらお互いに連絡し合うように、隣人と電話番号を交換したほうが良いのでは?などという考えが湧いたが、その直後、気が変わった。
それほど親しくもない人に電話番号を教えてしまって、些細な問題で頻繁に連絡が来ても却って煩わしく感じられるかもしれない。
どうしたらいいものか。
とりあえず当分は在宅勤務を強いられることになると思うのでおそらく空き巣の心配はないであろう。
ゆっくりと考えよう。
ご訪問ありがとうございました。
頂いたコメントを紹介させていただきます。
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鯉釣り🐟うり坊とまさる君の涙日記⭐ (hatenablog.com)
恐いですね(●´ω`●)💦 とりあえず、警察に通報ですよね😅
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コメントをいただき有難うございました。
警察ですか、通報していないような気がします。したほうが良かったのかもしれませんね。
誰が何のためにやったのかは是非知りたいところですけどね。どうぞお気をつけになって下さい。
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後日ゆっくりと読もうと切り抜いた新聞記事の中で、他の方にも有用であると思うものを時々紹介させて頂いております。
参考記事 KungsholmenDirekt, 22-augusti - 28 augusti 2020、Sidan 14. SBC(スウェーデン所有マンションセンター)が18歳から65歳を対象として実施した調査の結果でした。
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