羽田空港のターミナルに最後に足を踏み入れてからそろそろ二年の月日が経とうとしている。
今月中に使用しなければいけないコロナキャンセル・フライトクーポンはどうやら捨てることになりそうである。
去年の春、私の乗るはずであったフライトがキャンセルされたとき発行されたバウチャーである。
その時にバウチャーでなくリファンドを希望すれば良かったと考えても後悔先に立たず。
この時期、常に目先を利かせているように努力しないと損をする。
とは言ってもこれぐらいの損は、血を流しながらも営業している多くの小売店等の被っている災難と比較したら語るにも値しない。
空港に行くときは、大抵の場合は時間の余裕を持つようにしている。空港の免税店、お土産店等でで最後のあがきショッピングをする時間を確保したいからである。
海外在住の邦人の多くがそうかもしれないが、スーツケースの中身もほとんどは食料である。
その限られた食料を大切に、ちまちまと消費していたが、二年近くも帰国していないとそろそろ日本食棚が底を付いてきた。
両親が健康であった頃は時々、箱一杯の日本食を送って来てくれた。
一度母が缶入りの海苔を送ってくれたことがある。
賞味期限を一応確認したら1980年と記されていた。
2010年のことであった。
母に確認の連絡をした。
「この海苔、賞味期限から30年経ってるけど大丈夫なの?」
「大丈夫でしょ?缶に入っているし、戴きものの高級な海苔りだから。ちょっと食べて様子をみてみたら?」
高級な海苔だから賞味期限を30年過ぎていても大丈夫という因果関係がいまいち理解出来なかったが、一応少し食べて様子をみた。
果たして、まったく支障が無かった。
さすがは高級な海苔だ。
賞味期限というものは多少過ぎていても、ものによっては(自己責任で試す限りでは)支障がないようである。
羽田空港で購入したものの賞味期限はゆうに一年間半は超えている。
一昨日、ついに最後から二番目の、非常に貴重な羽田空港団子の箱を冷凍庫から取り出した。
あんこが苦手なのに何故和菓子を多く買って帰るのか、と時々問われる。
日本人の来客があったときのために何箱か購入して来たのだが、あいにく、あまり自宅に人様を呼べない状況になってしまったので二箱残っていたのだ。
さて、
日本にはいつ帰国出来るかわからないのでこちらで入手出来るものでどこまで日本食如きに挑戦できるであろうか。
最近、この北国ではさつまいも如きが流行っている。九州産ではないが。
こちらのひとたちはこれをフレンチフライのようにして頂いたりしている。
先日、思い立ってそれで栗きんとんが出来ないものかと実験してみた。
実験を初めてまもなく、大志が高すぎたことを理解した。外見は似ているが日本のさつまいもとはかなり別物である。しかしあとには引けない。大きい芋を三本も煮てしまった。
急遽、ニュアンスを変えて、洋風栗きんとんに方向転換をした。
こちらでも栗は買えるが、とりあえず簡易実験であったため、中華食材店で購入できる天津甘栗をラム酒と砂糖とバニラで煮詰めた。
日本のさつまいもと違って水っぽいのでおそらく日本のような栗きんとんは難しいのでは、とは思われるが成功されたかたがいらしたらこつを伝授して下さったら嬉しい。
さて、多少水っぽくなってしまったが一応食べれるものは完成した。
日本の栗きんとんを髣髴しなければそれなりに美味しい。塩キャラメルアイスクリームと一緒に食べたら合うのではないか、という提案をスウェーデン人にいただいた。
郷に入れば、である。
栗きんとんとアイスクリーム、考えも及ばなかった。
最近、鰹節をなんとか作れないものかと動画を見てみた。そこでは鰹を何日も燻したり出したり、と大変手が掛りそうであった。これならば輸入した方がよほど簡単そうであった。
グアム島で、戦争が終わったことを知らずに、28年間も一人でジャングルで生活をされていた横井正一元陸軍軍曹は、初期の頃に手持ちの塩を全て使い果たしてしまって後悔した、と自伝で語られていた。
北欧では、日本食への贅沢を言わなければ、塩どころか大抵の食料は揃う。
日本食棚が完全に空になってしまっても、日本にいつか帰れる日までは、入手しやすいものを利用して日本食如きを作って凌いでいこう。
ご訪問いただきありがとうございました。
こちらで持ち寄りパーティーに参加をさせて頂くと、日本人の皆さまはとても豪勢な日本料理を作っていらっしゃいます。皆様の十八番は何でしょうか?私の十八番は笹寿司と小籠包です。
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